逝ってみよう!殺ってみよう!
良い子悪い子の為の教育番組〜
(臙龍悠耶さん・作)

「やあみんな、元気かい?」
「お子様は頭が空っぽでチュー。だから絶対、そのぶん元気でチュー!」
「そ、それを言ってはいけないマルノ……」
「みんな、今日から僕達と一緒に楽しく勉強しようね」
「勉強は楽しくないでチュ〜」
「チューピー君、それを言っちゃいけないよ。おっといけない、僕達の自己紹介がまだだったね」
「それを忘れないでほしいマルノ……ディレクターから怒鳴られるのは私マルノ……」
「僕はドナルドお兄さん。わかんない事があったらどんどん聞いてね。10歳以下だとさらに好ましいかな」
「お兄さん、趣味に走ってるでチュー。ぼくは、チューピーでチュ」
「私はマスコット兼一番の苦労役の……」
「さ、チューピー君。今日の実験を始めようか」
「何するんでチュか?」
「……私にも自己紹介させて欲しいでマルノ……」
「今日はね、植物を調べようと思うんだ」
「植物でチュか? なら、ぼくが今から採って来るでチュ〜」
「いや、そんな必要は無いよ。ドナルド・マジック」
「うっわぁ〜、何も無いところからタンポポが出て来たでチュ〜」
「さすがドナルドお兄さんでマルノ」
「効果音と共にセットの下からADが持ち上げただけでチュけどそれらしく見えるでチュ〜」
「チューピー君、これ今日使う予定の薬品なんだけど飲むかい?」
「そんなの、いらないでチュー。このタンポポをつかって、今日は何するでチュか?」
「まずは、タンポポの葉っぱをよく見てみよう」
「……よく見たでチュー。緑色の普通の葉っぱでチュ。こんな番組にありがちな作り物だと思ったんでチュけど……」
「チューピーくん、それを言っちゃいけないマルノ」
「緑色の、普通の葉っぱだね。でも、こうしてみると…………ドナルド・マジック」
「わわっ、小さくなってしまったでマルノ〜」
「すごいでチュ〜!」
「はっはっは、どうだい? お兄さんのドナルド・マジックは」
「そんなのすごくないでチュー。すごいのはこれを合成したスタッフでチュ〜」
「……さて、タンポポの葉っぱをもう一度よく見てみよう」
「変な穴がたくさん開いてるでチュ……口みたいな格好でチュー」
「これはね、気孔って言うんだ。タンポポはここから息をするんだよ」
「息するんでチュか?」
「そう、そして人間には血管があるよね?」
「血管より、欠陥の方が多いでチュー」
「そんな事言っちゃいけないマルノ〜!」
「タンポポにも血管があるんだ。今日の実験は、それを取り出してみよう」
「えっと〜、メスとかいるでチュか?」
「必要な道具はこれだ! ドナルド・マジック」
「ビーカーと、アルコールランプと三脚、金網マルノ」
「お兄さん、このタイルと歯ブラシはなんでチュ?」
「それは使う時に言うからね。後は、薬品と葉っぱで準備はオーケーだ」
「早く実験するでチュー」
「それじゃあ、まずはビーカーに水と薬品を入れて……」
「入れるでチュ〜!」
「アルコールランプに火をつけよう。マルノ君、頼むよ」
「……わ、私にどうやってつけろと言うんでマルノ〜!!?」
「役立たずでチュー!」
「ビーカーの中に葉っぱを入れて暫く煮るんだ」
「グツグツ〜でチュ。あ、お湯が茶色くなって来たでチュ〜!?」
「と、ここでドナルド・マジック」
「タイルの上に葉っぱが乗ったでマルノ」
「さ、チューピー君。水を流しながら歯ブラシで葉っぱをそっとたたくんだ」
「はーい、でチュ(トントントン……)」
「すると…………」
「あ〜、葉っぱが網みたいになったでチュー」
「この残ったのが葉っぱの血管、葉脈って言うんだ」
「面白いでチュ〜」
「そう言えば、この薬品は何でマルノ?」
「今日使ったこれは、水酸化ナトリウムって言うとても危ない薬品なんだ」
「危ないって、どれくらい危ないんでチュー?」
「そのまま触っちゃったりしたら、手が溶けて骨だけになっちゃうくらいさ。みんなも触っちゃいけないよ」
「お兄さ〜ん、頭の上に乗っけたらどうなるんでチュ?」
「うん、それはいい質問だね。答えは『とっても危ないからしちゃダメ』だよ」
「もう乗っけちゃったでチュー」
「……もしかしてマルノ……私の頭の上にさっき乗ったツブツブは……」
「実験に使った薬でチュー。どうなるんでチュか?」
「ひえ〜、溶けるでマルノ〜!!」
「みんなも憶えておこう、危ない薬品を触ってしまった場合には……」
「早く拭いて欲しいマルノ〜!!」
「いやいや、それよりももっといい方法があるよ。ドナルド・マジック」
「マルノがプールに落ちたでチュ〜」
「た、助かったでマルノ……」
「もし触ったら、すぐに水洗いしようね。お兄さんと君達の約束だよ」
「破ったらドナルドマジックでチュか?」
「もちろんだよ。おっと、そろそろ時間だね」
「あ、やっと番組が終わるでマルノ……何とか生きてて助かったマルノ……」
「せっかくだから、このビンの中身を全部、プールに溶かすでチュー」
「って、それは水酸化ナトリウムの瓶マルノ!!」
「標本作るでチュー!」
「よい子も悪い子も、チューピー君の真似をしちゃいけないよ 」
「ダメでチュー」
「それじゃ、みんな。また会おうね」
「バイバイでチュ〜」
「ドナルド・マジック」
「わ、私を助けてから消えて欲しいでマルノ〜!!」


もう大爆笑!教育番組好きにはたまらない、あのノリの忠実な再現!!素晴らしいです!!
ドナルドお兄さんのマイペースさ、チューピー君の毒舌ツッコミとぶっ飛び行動、マルノの哀れっぷりが
最高にツボでした!あーもう、たまらないですわ…(笑)

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