誕生日プレゼント闘争・2(臙龍悠耶さん・作)

「あなたが私をここに呼び出した人?」
やぁ、天羽さん。来てくれないかと思ったよ。
「……こんな時間まで待ってたなんて……あなた、暇なのね」
あのなぁ……それが待ち合わせの時間に四半日も遅れて来た人間の言う事!?
「当然よ」
なんで!
「授業のある平日、午前11時にどうやったら学校の外で待ち合わせる事が出来るの?」
…………ま、それはおいといて…… 来てくれただけでもいいか。
「別に。帰ろうと思ったらあなたがそこにいただけだもの」
って……帰る気やったんかい……
「そんな事より、私を呼び出した理由くらい聞かせてほしいんだけど?」
うん、ちょっと待っててくれよ……
たぶん、そろそろ他の人も来るから。
「他の人?」
キミ以外にも何人か、呼んであるんだよ。
つまり、ボクの用事はキミだけへの用事じゃないって事。
「他の人はこの時間なのに、私だけぜんぜん違う時間に呼び出したって事?」
あぅ…………それが…………
「……みんなまだ来てないのね」
…………うん。
「確か待ち合わせ場所はこの辺りのはず……」
あ! 楊雲!!
「貴方ですね……私達影の民を根絶やしにしようとしてるのは……」
ちょっと待て!! どこからそんなデマが!!
「……貴方を見ての、第一印象からです」
……そんなにボクって信用無い……?
「そう言われなくても、そうね」
「信用するところがありません」
うぐ…… あ、そういえば楊雲。なんでこんなに来るの遅かったんだ?
「若葉さんにここへの道を聞きました」
……よくここまでこれたね……
「はあっ、はあっ……遅れてすみませんでした」
あ、フェンネルだ。なんだか息切らしているけどどうしたの?
「ちょっと、走って来たんですけど……」
けど?
「ハーブランドからここまでは、ちょっと距離がアリゲーター! えへっ」
……後2人、来るはずなんだけど……
「悠耶さん、ひどいです……笑ってくれると信じてましたのに……」
「女の子を泣かせるなんて、最低ね」
ぐさっ。
「生き物の風上に置く物ではないですね……」
ざしゅっ……って……あれで笑えと言うのは結構無理が……
でも、残りの2人、遅いなぁ……
なんでクミンと一緒に来なかったんだ?
「クミンさんなら、用事があるから遅れるらしいですよ」
そうか……う〜ん、それじゃあ、先にキミ達には集まってもらった理由を話そう。
「あ、そうそう。つまらない用事だったら、私帰るから」
「私も帰ります」
わぁわぁ! 用事って言うのはだね……
「あのぉ……うめきちさんへの誕生日プレゼントと何か関係、あるんですか……?」
そう、誕生日プレゼントに……って、何時の間に出て来たクミン!!
「私と一緒に来たのよ」
ライズも……なんで?
「私達は去年の貴方の行動を知っているからよ」
「また、悠耶さんが怪しい行動を取ると確信して……見張ってました」
……やっぱりボクて信用無い?
「さっきも言ったじゃない。聞くまでも無いわよ」
……そうでした。
「ありませんね」
即答ですかぃ……
「私のギャグで、笑ってくれませんでしたから信用しません!」
んな事言ったらキミが信用できる人間なんかこの世に存在するわけ無いだろが!
「あのぉ……去年の事もありますから……」
……キミの理由が一番理にかなってるよ……
「貴方の存在その物を、信じられる人はいないと思うわ」
ってこらぁ! 最後の最後で人の存在を否定すんじゃねぇ〜!!
「早く用事を言ってくれませんか? 夕方の礼拝の時間、もうすぐですから」
へいへい。 んで、脱線しまくってたが、キミ達を呼んだのは他でもない。
うめきちさんの誕生日プレゼントを用意するため…… って、ちょっと待て、
そこでなぜ逃げる準備と魔法を打つ体勢と杖を構えるのと剣を抜きにかかってる(×2)のかな……?
「本能的に危険を感知したのよ」
「去年の事、忘れたとは言わせないわ」
だぁ〜!
去年と同じ事するわけ無いじゃないか!!
そりゃ去年は悪ふざけが過ぎたけど……
今年は平和に解決しようと思って……ほら!
「……カメラね……それでどうする気?」
キミ達が一同にそろった写真を送ろうと思ってさ。
それでみんなにこうやって集まってもらったんだよ。
「でしたら……撮る前にカメラを見せてもらえませんか?」
いいけど? なんか気になるの?
「去年みたいに麻痺させられたくないですからね」
「大丈夫、普通のカメラよ」
信用してもらえた?
「……これに関しては、ですが」
いいよいいよ……とりあえず、みんな適当に集まってくれる?
これ撮ったら解散してくれていいから。
「お世話になってる方への恩返しですよね。今回は素直に手伝ってあげます」
素直にってのは気になるが…… ま、いっか。んじゃ撮るよ〜!

――パシュ!
――ドサ……

………………
ふっふっふ……我が目論見は成功だ〜!!
まさかこのカメラが江戸時代の日本を想定して魂を抜き取るように出来てるとはいくらお天道様でも気が付くめぇってね。
さ〜て、それじゃ急いで彼女達を梱包するか。
んで、これを5体1組って事でうめきちさんにプレゼント〜っと。
…………ん?
なんかさっきから背後に妙な気配を感じるんだけどな……
でも周りに誰もいないし……
うん、気のせいだよな。
「ドナルド・マジック!」

――キラリ〜ン

な、なにぃ〜!!
「貴方の手の内、私が読めないとでも思ってたのかしら?」
ラ、ライズ……
「貴方が何も企んでない訳無い事くらい、誰でもわかるわ」
だからって……なんでドナルドやねん!!
「そこの物陰で貴方を張っていたら、見た目はどう見ても犯罪者な妙な赤アフロのピエロが声をかけてきたのよ」
えっ?
「貴方に恨みがあるらしいから、丁度いいから協力させたわ」
じゃあ、さっきまでいたライズは……
「アフロが魔法をつかって変身させたのよ」
誰を……って、見れば解かるか…… …………哀れだ…………
「ひ、ひどいでマルノ……」
モンスターにはこれ、ちゃんと聞かないんだよなぁ、とブツブツ言いながら何事もなかったかのように去って行こ……
「通すと思ってるの?」
やっぱり……だめ?
「当然ね。ついでに言うなら……」
な、なんだよ……
「みんなも起こしたわよ」
うげっ!?

今年も悠耶からの誕生日プレゼントはうめきちさんの元へは届かなかった。
さあ、いったい何時になったら渡せるのだろうか?
それとも、渡せる日は永久にこないのか!?
ちなみに今回、関係の無いはずのドナルド乱入の真相をインタビューしてきましたのでそちらをどうぞ。
―― 声と顔、わからないようになってます? いえ、そうなってなくてもドナルドマジ……なんでもないです。
インタビュアー(以下イ)で、悠耶についてですが……
―― 悠耶ですか? ええ、あいつを許せないといつもおっしゃってました。
イ  おっしゃってた……とは?
―― ……? あぁ、誰が言ってたか……ですか?
イ  はい、そうです。
―― もちろん、全世界の子供たちのアイドル、赤きアフロのカリスマピエロのドナルド様に決まってるじゃないですか。
イ  (決まってなんかない、といいかけたが殺気を感じ頷く)
―― おっと、話がそれましたね。
イ  いえ(滝のように流れ落ちる汗)
―― ドナルド様がおっしゃるには、悠耶は学校の近くのモ○は一度も利用してないんですが……
イ  ならば、問題はないのでは?
―― いえ、駅の地下にあるマクドナルドに行かず、入り口近くのロッ○リ○を使用するんです!
イ  なんと……!
―― 徒歩五時間をかけてでもマクドナルドに巡礼……失礼、食事に行くのが正しい姿だと言うのにです。
イ  そんな……そうですね(改めて殺気を感じ訂正)
―― 一度、痛い目にあわせる必要がありますよね。
ドナルド乱入の真相を語ってくれたのは謎のピエロ、Mさんでした。
それでは皆さんまた来週〜!


またまたうめ吉の誕生日プレゼントにいただきました〜vv
各作品のうめ吉のイチオシ萌えキャラが夢の共演!!あーもう、たまらないです(悦)
そして…なんとドナ様まで…!また恨みの理由がちっちゃいのが笑えま(ドナルドマジック)

それにしても、各キャラの特徴を本当に見事に捕らえてますねぇ〜(感嘆)
台詞が聞こえてきましたよ、マジで!!


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