寒い国での温かい時間



―――危ないな…完全に道が凍ってる。しかしフュリーは、この道の上を
あんなに早く歩いて…さすが、シレジア人といったところか―――
「って、うわっ!!」
「!?…ノイッシュ!!だ、大丈夫!?」
「あ…ああ、すまない、大丈夫だ…」
「ふふっ、貴方でも転んだりすることがあるのね」
「はは、情けないところを見せてしまったな…」
「ううん、そんなことないわ。なんだか、可愛い…」
「えっ!?」
「な、なんでもないの、ごめんなさい!
この先の店に行きましょう、靴に滑り止めを付けてもらえるわ。
ここで過ごすには、あった方がいいと思うから」

「ああ、そうさせてもらおう」

―――シレジアに来てから、前よりずっとフュリーの表情が
明るくなった気がする。やっぱりここが彼女の故郷だからなのかな。
いつかフュリーを…私の故郷にも連れていく事が出来たなら…―――

(14/2/14)


戻る