君を喜ばせたい。
(彩川りんなさん・作)



セリスは、悩んでいた。ラナはどうしたら、喜んで笑ってくれるだろうと。
戦いの中で、こんな事を考えている場合ではないのはわかっているが、戦いの中だからこそ、
ラナには笑顔で、自分が何か喜ばせたいと、何より大切な愛しいラナの事を思っているのだ。
それを通りすがりに見たセティは、どうしたのですかと声をかける。
何かどう見てもセリスは、唸りながら悩んでいるようにしか見えず、流石のセティも心配になった。
だが、聞いてみれば、セリスが悩んでいるのは、セティから見れば実に初々しい微笑ましい悩みだった。
「恥ずかしい話だけれどね、ラナに何て言ったら喜んで貰えるかわからなくて。セティなら、好きな女の子に
何て言うのかな、相談に乗ってもらえたら助かるのだけど。」
そう、セリスは照れながら言う。
セティは、こう答えた。
「セリス様がラナを大切に、愛しておられる事を素直に伝えれば良いだけですよ、可愛いね、とか宝物だよ、とか
伝えてあげたら如何でしょう?」
それを聞いていたセティの妹フィーは、話にささって
「ちょっと、キザ過ぎない?でも恥ずかしいけど嬉しいと思うわ!セリスさま、ラナに素直な想い、伝えてあげて!
案外そのまま伝えたほうが、嬉しいのかな、素直に言うって照れるけど。」
と、背中を押した。
セリスは既に照れながら、ありがとう、やってみるよと、ラナの元へ勇んで進んでいった。
「ラナ!」
セリスは、ひと仕事終えて井戸の辺りで休むラナを見つける。
「セリスさま、どうなさったのですか、息を切らして・・・何かあったのですか?」
心配そうに見つめてくるラナを見ていたら、セリスの心は一杯になる。
うん、ラナは可愛いなあ。大切なラナだ。
意を決してセリスは、先ほどセティに提案された言葉を伝える。
「あの、ラナは可愛いね、って。ええと、すごく、ラナが大切なんだ、宝物にしたいくらい、
すごく、好きだよ。」
ラナは突然の熱い言葉に、真っ赤になって何も言えない。
「ラ、ラナ・・・?どうしたの、やっぱりダメだったかな、こんな、照れる台詞らしくなかったかな?」
ラナは、花のかんばせを紅に染めたまま、
「いえ、嬉しい、です。その、驚いてしまって、胸がどきどきいって止まらなくて・・・」
セリスはそんなラナがますます愛しくなり、そのまま勢いで抱きしめた。


「良かったわね、役に立てて。セリスさまとラナ、幸せだね!ところで、あんな台詞を誰に言うのかなお兄ちゃんは?」
と、物陰で見ていたフィー。
セティは、さてね、と誤魔化しつつ、幸せそうな未来のグランベル王と王妃を見て、これならばユグドラルも平和に
なる事だろうと、心を温めた。

おしまい。


彩川りんなさんが手作りバースデーブックに収録してくださった
セリラナストーリーです!サイトにも掲載させて頂きましたvv
ラナを喜ばせたくて悩むセリス様も、どきどきときめいてしまうラナも
可愛すぎてキュンキュンが止まりません!
セリス様の背中を押すのがセティ&フィー兄妹なのも、
フュリー好きなわたしとしては嬉しいものがあります♪
セティのアドバイス、ナイスです!
セリス様もラナも素直で微笑ましい…わたしも心を温めましたv
りんなさん、素敵なお話をありがとうございますvv

バースデーブックに描いてくださったイラストの数々はこちらです。

(20/7/31)

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