「誰でもいいから我が手に!!PART1」(臙龍悠耶さん・作) 

 

ふっふっふ……
ついに新しい世界を見つけたぞ!!
いや、本当はここは最後の楽しみにとっておこうと思ったんだけど……
おっ! ようやく陸が見えてきた!

――本船はただいま、ドルファン港に到着いたしました……

ここは質が高い女の子が多いからな〜 う〜ん、楽しみだなぁ〜

「いやっ! 離して!!」

おやっ? この声は…… ソフィアがいるじゃないか! お約束のように暴漢にからまれてるねぇ……
ここで助けなきゃ、宇宙人として失格だね。 と言うことで……
おいこらっ! その娘、嫌がってるじゃないか!

「あぁ? なんだこの……東洋人? は……」

……疑問形かぃ! とりあえずは東洋人でいいんだけどな……
ま、さっき言った通り、その娘嫌がってるんだから離してやれよ。

「お前にゃ関係ねぇだろが」

直接の面識はないから、そりゃ関係は無いように見えるだろね。
しかぁし!! キミは重要な点を忘れているよ。

「な、何だってんだよ……」

ボクは全ての女の子の味方さ!! っつー事でビリー君。 キミみたいな三下の雑魚の出番は終わったんだよ。

――ゲシッ

さてと…… 危ないところを助けたし、とりあえず好印象でソフィアとはお近づきになれたな。
大丈夫だったか……ありっ? ソフィアがいない…… そんな馬鹿な……
自分を助けてくれている人を放っておいてどっかいく娘じゃないよな。
よし、この付近のついさっきの映像を偵察用人工衛星から引き出して見てみるか。

――ジジッ……

ふむ、ここで船が到着したな。で…… ボクがソフィアを助けようとビリー相手に一撃加えて……? なにっ!?
僕とビリーの対決に気が行ってるサムとジャックの手を振り払って、 そしてソフィアをつれてフレームアウトしたこいつは……
東洋人傭兵じゃないかぁ〜! こんにゃろ〜! 鳶が油揚をかっさらっていくかのようにソフィアに近づきよって!!
大体、この場で活躍したのはボクであって貴様じゃない!!
む…… ピーンと閃いた!! どうせ、このままだと東洋人傭兵がボクのライバルになるはずだ!!
危険の芽は早いうちに詰んでおくのが正しいよね。 確か傭兵の兵舎は……シーエアー地区だったよな。
って事はこの辺なわけだ。 よし、兵舎に爆弾を仕掛けておこう。 なぁ〜に、たかが傭兵の100人や200人……って、
そんなにいるか知らないけど…… とにかく、いなくなったところで何の問題もなかろう。
むしろ、国の兵力が落ちたときこそボクの株が上がるもんだって。
1人で敵軍を返り討ちにすれば、階級は将軍なんて目じゃないくらいになるんじゃないかな〜
どうせ、爆弾テロならゼールビスさんのせいになるだろうし。 いくら爆弾の材料の中にこの星に無い物が交じってたとしてもね……
よ〜し!! 燃えてきた燃えてきた! それじゃまず爆弾を……いや、これは着いてから作ってもいいだろ。
今は兵舎まで行くか。

 

えっと……ここは何処だ? あ、セリナリバー駅が横にあるじゃないか。 って事はフェンネル地区か……
って、ちょっと待て。 なんで港から目の前にあるはずの兵舎に行こうとして、ボクはセリナリバー駅にいるんだ!?
方向音痴もここまで来ると奇跡としか言いようが無いな…… とりあえず、サウスドルファン駅まで戻るか。
さすがに1本道なんだ。 次は迷うなよ、ボク。

――パカラッパカラッパカラッ……! ――ガラガラガラガラ……
な、何かが……ものすごいスピードでボクに向かってきているような音が……
まさか、2年前に滅ぼした星の生き残りが、ボクに仕返しとして暗殺者を…… って、んな訳ないって。
一体何の音……だぁっ!!

――ドガッ!!
――ベキ、ベキョ、グチャ……

い、痛いじゃないか…… 馬にぶつかって……跳ね飛ばされるまもなく馬車に引かれてしまった……

「道の真中でぼんやりしてんじゃねぇ! 危うくひいちまうところだったろうが!!」

誰だ!! って、そんな問題じゃない!! とっくの昔にひいておいて何を……

「馬車にひかれてピンピンしている奴が何処にいるんだ?」

そりゃ目の前にいるボクを見れば一目瞭然! あ、痛てて…… こらぁ! 骨が折れたじゃないか!!
足があらぬ方向に曲がってるぞ!

「……それでちょうどいいんじゃないのか?」

んなわけあるか…… ん?
足があらぬ方向に曲がる? ちょっと待て、一体時速何kmで走ってたんだ?

「そんな事知るかよ」

まあ、馬車に速度メーターはないだろうけど…… ボクの身体、並の合金より固いはずなんだけど?

「固くても、丈夫じゃなけりゃ壊れるだろ」

あ、そうか……って、いくらなんでもんなわけないだろうが!!
とりあえずミサイルの直撃くらいは耐えられるようにこの前改造し直したんだぞ!!
お前の馬車の衝突エネルギーは核並みか!?

「あーまったく……とりあえず、ぶつけてすまなかった。それじゃ」

ちょっと待った!!

「……なんだよ」

今度デートしてください!!

「……寝言は寝てから言いな。大体、お前みたいな奴……」

何を言うか。 これだけ男らしい人間はそうそういないぞ!! キミの理想のタイプじゃないか!

「男……なのか?」

ぐはっ……

「いや、それより……生き物なのか?」

えぐえぐ…… とりあえずさぁ……次の日曜でも…… ありゃ? ジーンさん?
…………いない………… くすん。

 

はぁ……やっとサウスドルファン駅を…… 通り越してしまった。 ま、いっか。
う〜ん……お腹空いたな…… よし、レストランにでも行くか。
え〜っと……あ、あったあった。

――キィ……

なに食おうかなぁ……

「ちょっとそこのバイト君!」

いつもレストラン入ると、同じものしか頼んでないよなぁ……

「聞いてない振りしてるなぁ……よーし!!」

ん……うわぁ〜!! 背中が、背中がぁ〜!! 一体なに入れた!! すっげー冷たいんだけど!?

「キャハハハハ! 大成功!」

成功じゃないよ……まったく。 何の因果でボクはキミに悪戯されなきゃいけないんだよ。

「呼んだのに返事しない君が悪いのよ」

ちょっと待て、いつキミはボクを呼んだ?

「さっき呼んだじゃない、バイト君って」

あのな……何処のバイトが堂々と店の正面口から私服で入ってきて仕事する? 普通おかしいと思わんのか?

「そう言えば……そんなへんなバイトいなかったわね」

その納得の仕方が非常に気になるんだけど…… まあいいか。
ん? なんかまだ背中がスースーしてるな…… もしかしてさっきの氷、ハッカも混ざってるとか?

「えー? 混ぜてないわよ?」

でも異様にスースーと……

「それに、わたし氷なんて入れてないよ」

……じゃあなに入れたんだ……?

「怪しい薬品よ!! メネシスって人からもらったの」

ってこらぁ!! お前はんなもん人の背中にかけるんか!! あ……なんか煙が出てる様な気が……?

「君の背中から出てるわよ?」

どわぁ〜〜〜!! なんで煙がぁ〜!!

――シュウシュウ……

しかも溶けてる音がしてる!? えーい! 一時離脱!!

 

――みょみょみょ……

はあ……ドルファンってこんな難しかったか……? いや、しかしここで負けてはいけない!!
ここは、ボクに残された最後の聖地なのだ!! と言うことで……溶けた背中を直さないと……
ふっふっふ……完全復活したボクに叶うものはない…… 首を洗って待ってろ! 東洋人傭兵!!

(01/6/5)

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