コリアンダーを我が手に!!(臙龍悠耶さん・作)

 

う〜〜、痛てて……
なんとか生き延びたけど……
よし、今度は予定通りにクミンよりもおとなしい娘をねらお〜っと。
う〜ん……おとなしいのって……
コリアンダーくらいかな?
んじゃ、今回のターゲットはコリアンダーだ!!


さてと、明日は5月7日!
ベトニー伯爵が呪いの大聖堂に姿を現す週の始まりだね。
今度はコリアンダーがほかのやつに声をかける前にボクから誘おっと。
コリアンダーは……あ、いたいた。
お〜い!コリアンダー!!
『あ、悠耶さん。どうしました?』
おぉぅ!走り書きなのにすごく綺麗な字だねぇ……
『貴方の字が汚すぎるだけですよ』
……ほっといてよ……
あ、それでさ、次の週の冒険はボクと行かない?
ベトニー伯爵の話、聞いてるだろ?
『あ、オレガノ王子様にお願いしようと思ったんですけど……』
ボクのほうがあいつよりも役に立つって!!
それに、ボクなら絶対にあいつを倒してキミに歌声を取り戻させてみせるよ。
『………………』
沈黙まで書いてくれなくても……
まあいいや。
ね、まだ約束したわけじゃないんだろ?
ボクと行こうよ。

−−ポロロ〜〜ン

上がり調子……って事は、ボクの誘いを受けてくれるの!?

−−ポロポロォン

笑顔だし……やったぁ!!
じゃ、明日迎えに行くよ!!


と、言うことで、月曜日なのに呪いの大聖堂にいたりするんだなぁ〜これが。
あ、コリアンダー。
そんなに心配しなくても、ここのモンスターなんかボクが速攻で倒すから気を楽してなよ。
『ありがとうございます』
へへっ。
おっと、そうこうしているうちにミイラのお出ま……取り囲まれたや……
『……悠耶さん?』
う〜ん、周りは30体はいるかと言うようなミイラの群れ……
もしかして、木曜日に備えて、今からパネルの下に潜ろうとしてたのかな?
ま、幸い後は壁だから正面と横からしかミイラは来れないし……
いや、それよりもなんで全部が全部ミイラ?
う〜ん……ま、いっか。
コリアンダー、ちょっと下がってなよ。危ないから。
(心配そうながらも頷きつつ、彼女はボクの指示通り少し後ろに下がった)
ナレーションまでしなきゃいけないって言うのはつらいな……ま、いっか。
さあ来なさい、ミイラ達!!

で、1分後……
ミイラは全部塵と化してしまいました……と。
『何をしたんですか?』
それは……内緒だよ。
さて、ベトニー伯爵の所に行こうか。
(そういうボクの言葉に頷く彼女の目には、決意の光が見えた気がした)


ベトニー伯爵!!来たぞ!!
「ほう……これはこれは……」
さっさとボクらにやられろ!そうすればコリアンダーの声は戻るんだよ!!
「ここでやられるわけには行かないな……」
コリアンダーを手に入れるためか?
「もちろんだ。そのためにこの女の魂は我が手中にあるのだからな!」
あ、あれは!!
(宙に現れた人−−いや、すでに人じゃないのかも知れない−−を見たコリアンダーは今にも倒れそうだ)
「ほぉら、君の愛しのお母さんはここだよ」
お前なぁ!!そんな卑怯な手を使うか!?
「君にそういうことを言われたくはないな。どうせ今回も下心があってのことだろう?」
……ち、違わぃ!!
『声がどもってますけど?』
き……気にしないでいいから。
それより……おぃ!そこのロリコン!!
「うぐっ……突然に何を言うかと思えば……」
ロリコンにロリコンと言って何が悪い!!
12年前のコリアンダーは8歳だぞ?
その彼女を自分の物にしようとしてそういうことをしたんなら、十分ロリコンだろが!
「どうやら君のその口の聞き方は、一度死ななければ直らないようだな……」
残念ながら、ボクは死なないようにできてるんだよ!
「では、適当なテレビ局に電話をして……
 あ、もしもし、今目の前に宇宙人がいるんだが……
 そうだ。しかもまだ生きている。
 撮影隊を派遣してもらえるのだな。よし、場所は……」
やめんかぃ!!
あんまりくだらねぇ事言ってるとスマキにして……
「川にでも流すと言うのかね?」
いや、某純愛SLGのRPG番の吸血鬼に代わりをやってもらう。
で、彼にこっちを任せて、キミは向こうで悟りを開く……と。
「誰がするかっ!誰が!!」
あはっ!引っかかったね。
『怒らせてどうするんですか!言葉遣いが変わってまでしてこっちに来ますよ!!』
心配しないでよ。これも計算通りなんだしさ。
それに、もし失敗したとしてもボクがあいつを止める。
何があってもキミを傷つけさせやしない。
(コリアンダーの表情を見る限り……これはかなり好印象を持たせたぞ……)
で、突っ込んできているキミはそのまま固まりなさい。

−−パシュッ

石化完了♪
吸血鬼の石像ってのも結構いいかもね。
さて……ベトニー伯爵を倒したし、これでコリアンダーの声は戻ったはず。
さっきのでかなりボクに傾いただろうし……これで彼女はもらったも同然だね。
ね、コリアンダー、ちょっと喋ってみてよ。
「……………………」
あれ?声はもうでるはずなのに……
「…………………………!!」
おかしいな……ベトニー伯爵を倒すと声が戻って……
ん?そう言えば…………
確かベトニー伯爵を倒すと、コリアンダーのお母さんの魂が解放されて、天に昇ってて……
そのお母さんを追いかけていったコリアンダーは母に向かって叫び、声が戻るって言うのが……
と言うことは……だ。
現段階では、ベトニー伯爵は石化しているだけだから死んでない。
死んでないから魔力は今まで通りに働いてて……
魔力が働いているからお母さんの魂はそのままで……
解放されないから成仏しようがなくて、コリアンダーもお母さんの魂を追いかけようがない……
つまり……
『貴方のせいで失敗したと言うことですね』
……いや、まだ失敗してないって。
ベトニー伯爵の魔力をコントロールできれば、キミのお母さんお魂は解放できるさ。
ちょっと待っててね……
『何をなさるんですか?』
ん?ベトニー伯爵の力をボクのものにするのさ。
っつー事で吸収!!

−−シュワァァァァ

イェィ!!ベトニー悠耶の出来上がり〜
う〜ん……伯爵の服って結構着心地いいな……
『ベトニー伯爵になってどうするんですか?』
これでボクはベトニー伯爵と一心同体も同然!
『それで?』
解かんないかなぁ〜?今のボクはベトニー伯爵といっしょなの。
つまり彼と同じ魔力を持ってるって事さ。
ちょっと離れててね。今キミのお母さんの魂を解放するから。

−−ゴロゴロ……ドッシャァァァ〜ン!!

な……何だ今のは……
何か予定と効果音が違うんだけど……
失敗したのかな……でも別になんともないし……
気のせいだね。んじゃ改めてっと……

−−「ハレルヤフラッシュ!」

フェンネルッ!?
な、何だ何だ何だ!!
う〜ん……気をもっと集中させないと駄目なのかな……
さっきからよけいな邪念が入り込んでるみたいだね。
ここはコリアンダーのお母さんの魂を解放することだけを考えなきゃ……

−−タッ……ゲシッ!!

うぎゃっ!?
何かものすごい勢いで潰されたような気がする……
おっかしいな……ボクまだなんにもしてないってのに……

−−「ダンシングナイフ!」

今度はチコリ!?
駄目だ……やはり煩悩がうずめいているのか……?
あ、もしかして……
ボクとベトニー伯爵の魔力の波長があわないのかな?

−−ザシュッ!!

ぐはっ……やっぱりそうなんだ……
なら簡単じゃん。
魔力の波長を合わせるための変換機を作ってっと……

−−「女王様とお呼び!」

はい!呼ばせていただきま……じゃなくて。
後はこれをこっちにつけてっと……
よし!完成完成!!
この機械を取り込んで……魔力の流れは順調かな?
……うんうん、30秒でできた割りにこの性能!
我ながら惚れ惚れしちゃうね。
よーし、これで準備はいいし……
コリアンダーのお母さんの魂を現世に縛り付けている魔力を断ち切ろぅ!!
待っててくれよ。後2分もあればキミのお母さんは解放されるから……ん?
あれ!?コリアンダー!?
おっかしいな……さっきまで目の前にいたのに……
「今週のコリアンダーの正式なパートナーは私だ。勝手に連れ回さないでほしいな」
んげっ!お前は……オレガノ!!
だいたい正式なってどういうことだよ!!
ボクが先に彼女をここに連れてきたんだぞ!!
「それについては……」
「はーい!私が説明するわね」
アンゼリカ!いったいどういうことだよ!!
「ルール上では、月曜日から水曜日の間に有権者の女の子達の中から一人を誘うんであって、
前日のうちに誘うのはバツ。
 それと……あ、冒険は木曜日からだから、その前にフライングしたのもダメ。
 だからコリアンダーさんはフリーって事になるの」
「そのことを彼女に伝えて、改めてコリアンダーを正式な今週のパートナーとして組んだわけだ」
って事は……今回のボクはパートナー無しで、ダンジョンのボスを倒しつつもその魔力を持ってるわけだし……
言ってみれば、ボクは自分でのしちゃったベトニー伯爵の代わりを努めてるって事?
「そう言うことだ。では、ここで引導を渡してやろう」
へぇ〜、シルバーソード持ってきたんだ。
鎧とかがないところを見ると先手で終わらせる気?
それだけでボクを倒せると思ってるんだったら本当、御愁傷様だね。
「甘い!!」
おっ?気合いのサイコロ……
あぁ、なるほど。アイテム欄にあったサイコロを全部使ったんだ。
追加サイコロが9と元からので全部で10、シルバーソードがサイコロ+1で……最大なら66か。
でも大丈夫。ボクはHPを100にまで上げてきてるから一回じゃ死なないよ。
ま、残念なのは魔力の流れを変えてるせいで避けることができないって事かな……
どうせ他の王子達もいないから半分以上減らされたってどうって事ないけど。
正面から受けてやるよ。
「外道覚悟!!」

−−ザシュザシュザシュ!!

うわぁい……身体中に無数の穴が……
どうせこれくらい、すぐに再生してやるからいいけど……?
あ、あれ?身体が戻らない……?
おっかしいな……今のサイコロの目は?
「ダメージは48になる」
それじゃあボクの身体が崩れてく理由にならないよ!!
残りのHP52は何処行った〜!!
「ああ、それならとっくの昔になくなってるぞ」
なにぃぃぃっ!?
「まず、リンデンの雷が気合いのサイコロ2つ追加でダメージ16。
 次のフェンネルの攻撃がダメージ6。
 さらにマグワートの攻撃が気合いのサイコロ3つ追加でダメージ27。
 あいつと一緒に来たチコリの攻撃がダメージ10。
 バジルが気合いのサイコロ1つ追加でダメージ5でディルもダメージ5。
 合計で69のダメージを私の攻撃の前に喰らってたんだよ」
ちょっと待て!計算があわんぞ!!
吸血鬼戦には攻撃力が落ちているだろが!!
っつーかダメージはサイコロ一つで1だろ!?
何でそんなサイコロの個数にあったダメージが出るんだよ!!
「それについてはこっちに内訳の表が載っている」
どれどれ……え〜っと……?
リンデンがシルバーナイフ持参でサイコロ一つの平均ダメージが5〜6で……
フェンネルは……まあ解るからいいや。
マグワートはシルバーソードを持ってきてて平均ダメージはリンデンと同じ……
チコリの投げてきたナイフはシルバーナイフで通常通りのダメージで……
バジルはアイアンソード装備でサイコロ2つのダメージが2でそれに+3。
ディルはシルバーオーブを持ってて……っておぃ!!
「納得したか?」
できるかぁぁぁぁ!!
うぁ……身体が……もうこのままじゃもたないや……
仕方ない、今回はあきらめてこのまま溶けて逃げるか……
どうせコリアンダーのお母さんはボクにしか助けられないんだし。

−−ジワジワ……シュワァァァァ

「くっ……ベトニー化した悠耶を倒したとは言え……オレはあいつを倒しに来たんじゃない。
 コリアンダーの母上の魂を解放すべく来たと言うのに……」
『あの、オレガノ王子様……』
「すまない。オレのが不甲斐ないばかりに……」
『気になさらないでください。それより……この機械、何でしょうか?』
「ん?動いているな……」


あぁぁぁぁ〜!!!しまった!!
魔力変換機置いてきた!!
いや、あのまま触らないでおけば問題ないけど……
あれにはボクとベトニー伯爵の魔力の波長が合わさったものが貯め込まれてるってのに……
もう発動可能な時間になってるよ……
はぁ……そのまま気がつかないでいてくれないかな……
それより……ボクはこのまま何処まで流れ落ちてくのかな……


「ボタンがあるな……」

−−ポチッ

「こ、これは……コリアンダーの母上か!?」
「ありがとうございます。これでようやく私は……」
「て……天に昇って……」
「王子様、私のコーリーも幸せにしてやってくださいね」
「あ……はい!御心配なく!!」
「コーリー、元気でね……私は天からあなたのことを見守ってますよ……」
「お……おかあさーん!!」


……ということでコリアンダーは無事に声を取り戻しました。
まだ歌うことは出来ないけど、今まで12年間喋れなかった分を取り戻すかのように喋ってるとのことです。
まぁ、こんな終わり方もありって事かな……
さて……と、呪いの大聖堂って隙間だらけの建物だな……
いくら液体状になったからってまだ落ち続けるなんてさ。
そろそろ人の格好になるくらいの体力は戻ってきたみたいだけど……
おっ?空間に出た。
んじゃ、この辺で元に戻って……
「あ〜れあれあれ〜?き〜みは何処から来たのかな?」
……げっ!チャービル!?
何でお前がこんなところにいるんだよ!!
「お、おい!こっちには見たことのない生き物がいるぞ!!」
失礼だな……見たことがないなんて。
普通の人間の恰好してるじゃ……あ、あれ?
何でこんなに縮んでるんだろう……
あ!そうか。液状になって降りてきたから、まだ細胞が引っかかってるんだ!!
はぁ……これって……子供よりも小さいやんか!!
「お〜い!!これ、宇宙人だよ!!こっちには宇宙人がいるぞ!!カメラ回せ!!」
ん?何やってるんだ?
「な〜にって撮影だよ、さ・つ・え・い。
 おじちゃんのことを全国ネットで放送してくれるって言う優しい人たちが来てねぇ〜」
……って事は……
「おい!局の方に連絡入れろ!!幽霊と宇宙人って言うすっげぇ2ショット映像が回せるって!!」
「ほらき〜み、ピ〜スピ〜ス。
 あ、そう言えばおじちゃん首だけだったねぇ〜すっかり忘れてたよ〜」
うわぁ〜!!テレビ局に捕まる!!
捕まってボクのことが世間にばれたら今度はNASAが来る〜!!
何とか逃げなくちゃ……逃げて逃げて逃げ延びて……
あきらめずに次の女の子を落としてやる!!
今度は……う〜ん……
天ボケとか入ってると結構ボクのペースに引き摺り込みやすいかもなぁ……

 

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