マルノ・カッポン今昔物語・4

じじマルノと人魚姫マルノ、おじさマルノ、女神さマルノを影で見ていたのは、
オオカミマルノと魔女マルノでマルノ。
「くそう…じじマルノめ絶対復讐をしてやりマルノ…ふがふが」
玉手箱で哀れな老人の姿になってはいたけれど、オオカミマルノの瞳にはじじマルノに対する
確かな殺意が宿っていマルノ。そして一方、魔女マルノは
「くぬぬ〜!もう少しでわたしは王子さマルノと結婚できたのに…許さないでマルノ
人魚姫マルノ…」
王子さマルノが飛んでもないバカ王子だったということを知らない魔女マルノは、
自分と王子さマルノを引き裂いておきながらおじさマルノと一緒にいる人魚姫マルノに
激しい憎悪と怒りを燃やしマルノ。
そして偶然出会った2人は、相手は違えど目的は一緒だと知り、手を組むことにしたのでマルノ。

オオカミマルノと魔女マルノは、じじマルノ達が柿のなる豆の木のてっぺんの城に居座った
サルマルノを退治しようとしていることを知り、先回りして自分達もサルマルノの仲間に
加えて貰おうと企みマルノ。
「しかし、どうやって…」
オオカミマルノが言うと、魔女マルノはにやりと笑いマルノ。
そしてほうきを取りだし、それに乗りマルノ。
「お前も乗りマルノ」
「なるほど!それで一気に頂上に行きマルノ!?」
オオカミマルノの言葉に魔女マルノはコクリと頷きマルノ。

魔女マルノとオオカミマルノは、雲を突き抜けて鬼マルノとサルマルノの居る城へたどり着きマルノ。
そして、じじマルノが復讐しようとしていること、自分達を仲間に加えて欲しいということを
伝えマルノ。鬼マルノ達は二人を快く迎え入れ、サルマルノはじじマルノ達を返り討ちに
するべく作戦を練りマルノ。
そのころ、じじマルノ一行は豆の木を登り始めていた所でマルノ…。


じじマルノたちが登ってくるのをレーダーで監視していたサルマルノ達は上から水を流して
じじマルノ達を押し流そうと企みマルノ。
「わたしに任せマルノ」
魔女マルノはそう言うと、早速豆の木が突き抜けている場所へ向かいマルノ。
そして、下に向かって呪文を唱えマルノ。
「アブラカダブラ アブラサラダナ アブラアッサリシーチキ〜ン!!」
すると魔女マルノの杖の先端部から大量の水が凄い勢いで流れ出しマルノ。

必死に登ってきていたじじマルノ達は、突然の低く唸るような音を不審に思い
上を見マルノ。すると、滝のごとき勢いで水が迫ってきていマルノ。
「た、大変でマルノ!どうすればいいのでマルノ!?」
じじマルノはあわてふためきマルノ。しかし、人魚姫マルノは落ち着いた様子で
じじマルノの横をすり抜けて登り、じじマルノを顧みて言いマルノ。
「わたしに任せマルノ♪」
今は人間であるとはいえ、元人魚である彼女は水の精霊と心を通わせていたのでマルノ。
人魚姫マルノが迫り来る水に向かって何やら囁くとあら不思議、水はボール状になって
一行の横をふわふわ通り過ぎ、そのあと元に戻って下へ勢いよく流れ落ちマルノ。
「さぁ、行きマルノ」
人魚姫マルノはにっこり微笑みマルノ。

「おのれぇ…あの女…」
その様子を見ていた魔女マルノは悔しさにハンカチを噛みマルノ。
「おちつけ、オレ様に任せマルノ…ふがふが」
オオカミマルノはそう言うと、大きく息を吸い込んで口笛を吹きマルノ。
すると、4匹の鳥型のマルノがゲッゲッと鳴きながら現れマルノ。
「ぐほっ、げほ、ごほっ…」
思いっきり口笛を吹いたため息が切れてオオカミマルノは咳き込みマルノ。
「はーっ、はーっ…ふふふ、落ちぶれても元百獣の王…手下共は沢山いるのでマルノ」
「おお、さすがオオカミでマルノ!」
百獣の王はライオンなんじゃないのかと突っ込みたいのを抑えて、魔女マルノと
サルマルノはオオカミマルノに拍手を送りマルノ。
「いけっ!鳥マルノ!!奴らをたたき落としてきマルノ!…ごふっ、ごふっ」
オオカミマルノが命じると、鳥マルノ達は一斉に豆の木を急降下しマルノ。

「こ、今度はなんでマルノ??」
じじマルノは怪しい鳴き声に恐怖しマルノ。それが段々近づいてくると、じじマルノの
表情はこわばりマルノ。それはおぞましい顔をした(マルノ顔だけど)鳥だったのでマルノ。
「ひぃぃぃ〜!!」
「安心されよ!ふふ、どうやらワシの出番の様でマルノ」
今度は人形職人のおじさマルノがフッと自信ありげに微笑むと、懐から銀糸を取りだしマルノ。
「ハァーッ!!」
おじさマルノは気合いの入った声で叫び、鳥マルノに向けて銀糸を放ちマルノ。
「ゲギャァァ!!」
4匹の鳥マルノは体に銀糸を絡められ、暴れもがきマルノ。しかし、しばらくすると大人しくなり、
羽ばたきながらその場にとどまりマルノ。
「こ、これは…どう言うことでマルノ…?」
じじマルノが不思議そうに尋ねると、おじさマルノは鳥マルノの体に上手く絡めた銀糸の先を
引きながら答えマルノ。
「これは操り人形に使う糸でマルノ。今こいつらはワシの思うままでマルノ。
さぁ、丁度いいでマルノ、こいつらに掴まって一気に上までいきマルノ!」
おじさマルノは糸を絡めた鳥マルノを一匹ずつ他の3人にも渡しマルノ。

「ど、どーするんでマルノ!?かえって奴らを有利にしてしまいマルノ!!」
「げほっ、ごほっ…」
パニックに陥りオオカミマルノを責める魔女マルノ、ごまかすかのように咳払いを
続けるオオカミマルノ。しかし、サルマルノは冷静に言いマルノ。
「慌てることはないでマルノ。我々にはたくさんの鬼マルノが付いていマルノ。
さぁ、奴らの足止めは鬼マルノ達に任せて我々は奥の部屋で迎撃の準備を整えマルノ!
…もっとも、奴らが鬼マルノ達を全て倒せるとは思わないでマルノ…」
サルマルノは不敵に笑うと、急いで鬼マルノ達のもとへ行き、わざとらしい口調で言いマルノ。
「大変でマルノ!奴らが、奴らがもうここへ来てしまいマルノ!!我々ではとても勝てないで
マルノ!ああ、あなた方のような強い力と素晴らしい知恵があれば…」
単純な鬼マルノ達は、おだてられてすっかりいい気になってしまいマルノ。
「はーっはっはっは!!任せマルノ!オレ達がそいつらをばっちり片づけてやりマルノ!」
「おおっ!ありがとうございマルノ!どうかお願いしマルノ!!」
――ふふ…単純な奴らは利用するに限りマルノ…――
サルマルノはこっそり鼻で笑って、魔女マルノ、オオカミマルノと共に城の奥へと姿を
消しマルノ。


鳥マルノに掴まって一気にてっぺんまでたどり着いた4人は、用心深く周りを見回しマルノ。
「これは…こんな城があったなんて…」
目の前にそびえる巨大な城に、一行は息をのみマルノ。
その時、城の扉が開き、一斉におびただしい数の鬼マルノがこっちへ向かってきマルノ。
「ひぃぃ!鬼でマルノ!!」
じじマルノは思わずすくみ上がりマルノ。
「なんて数…これではとてもかなわないでマルノ…!」
人魚姫マルノは初めて弱音を吐きマルノ。
「諦めてはいかんでマルノ!最善を尽くすのでマルノ!!」
義娘をさとし、おじさマルノはキッと向かってくる鬼マルノ達を見据えマルノ。
「そうです!わたくしも出来うる限りのことはしマルノ!」
女神さマルノもそう言うと、前に進み出マルノ。
「あぶないでマルノ!女神さマルノ!!」
「大丈夫です、ここはわたくしの聖なる魔法で…」
しかし、女神さマルノがなにもしないうちに、鬼マルノ達の動きは止まってしまったのでマルノ。
「……?」
「う、美しい…美しすぎる…」
なんと、鬼マルノ達は女神さマルノのあまりの美しさに心奪われ、全員目がハートになって
しまったのでマルノ!
「ああっ 女神さまっ!!」
どこかで聞いた言葉を口々に叫び、鬼達は女神さマルノを取り囲んで、握手やサインを
求めたり、拝んだり涙を流したりしマルノ。
一行はしばらく呆然としていたけれど、やがて実はとってもラッキーであることに
気付いて心の中でガッツポーズをとりマルノ。(ただ、人魚姫マルノは自分が見向き
もされなかったことに少し不満を感じていマルノ)
「あなた方に聞きたいことがあるの…サルマルノを知らない?」
女神さマルノはわざと熱っぽい声で鬼マルノ達に尋ねマルノ。
「サルマルノ…?ああ、はいはい!!さっき城の奥に行くのを見マルノ!多分赤き部屋でマルノ」
「赤き、部屋…?」
「そうでマルノ、部屋のドアも中も真っ赤な部屋でマルノ。我々が殺した人々の血で赤く染まった
なんて言われてるけど、実際はドアをペンキで赤に染めようとしたとき、謝って部屋の中にも
ペンキをぶちまけたので、それをごまかすため全部真っ赤にしただけでマルノ」
鬼マルノの一匹はそう言ってガハハハと笑いマルノ。
――なんだかこの鬼共、もしかすると結構可愛い奴らかも知れないでマルノ…――
一行はちょっぴりそう思ってしまいマルノ。
「ありがとう!じゃぁ、わたくしたちはこれで…」
「ああっ!もう行ってしまいマルノ!?」
鬼マルノ達は慌てて女神さマルノを引き留めマルノ。
「サルマルノをやっつけたらまたきマルノ」
「おおっ!それなら、コレを持っていくでマルノ」
鬼マルノが差し出したのは一本の刀でマルノ。柄の所にマルノの紋章が付いていマルノ。
「これはこの間城の倉庫で見つけたものでマルノ。調べてみたところ、まだわてらの国が
“鬼ヶ島”だった頃、わてらの祖先を退治しに来た桃太郎マルノとかいう若者が、島から帰る時
忘れていったものらしいでマルノ。わてが生まれる前のことだから詳しくはわからんが、
きっと役に立ちマルノ」
女神さマルノはお礼を言ってそれを受け取ろうとしマルノ。しかし、その刀は大変重く、
女神さマルノは持つことが出来なかったのでマルノ。人魚姫マルノも人形職人おじさマルノも
同じくあまりの重さに思わずそれを取り落としてしまいマルノ。しかし何故かじじマルノが
手にすると、刀は羽のように軽くなり、じじマルノの手にバッチリなじみマルノ。
じじマルノ本人もそれを不思議に思いながらも、サルマルノの元へ向かいマルノ。

「なぁ、オレ達サルマルノの味方じゃなかったっけか?」
鬼マルノの一人がポツリと呟くと、
「気にすることねーでマルノ。どうせ味方するならエテ公より美人でマルノ」
「そーでマルノそーでマルノ〜♪」
鬼マルノ達は口々にそう言って手を叩いてはしゃぎマルノ。

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